音楽教室・スクールの予約システム|「講師で選ぶ」「時間で選ぶ」2つの入口を作る

音楽教室やスクールで予約システムを入れるとき、プライベートレッスンの予約には、フリータイムレッスンにはない事情があります。受講生によって、探しはじめる場所が違うのです。「この先生に習いたい」から入る人と、「木曜の夜なら通える」から入る人。同じ枠を予約するのに、絞り込む順番が逆になります。本事例では、この2つの入口を用意した予約システムの設計をご紹介します。
スクール管理システム「TechnoSMS」を開発するTECHNOPIAN株式会社の広報。「業務をシステムに合わせるのではなく、業務のためのシステムを作る」が信条。数十社以上の導入指揮経験を活かし、徹底した要件定義によって、スクール独自の複雑な運用ルールを最適なシステムにする過程をお伝えします。
この記事の要点(サマリ)
- 予約の入口を「時間から選ぶ」「講師から選ぶ」の2種類用意し、受講生が選べるようにしました
- 「時間から選ぶ」では受講日と時間帯を選びます。「講師から選ぶ」では、講師を選ぶとその講師が登録している時間帯(日付・曜日・時刻)が一覧で表示されます
- 受付期間は受講日時を基準に設定し、本事例では受講日の前日21時で締め切ります(フリータイムレッスンと同じ)
- 確定の手前で、残回数・予約件数の上限・受付期間・満席・重複を判定して止めます
- フリータイムレッスンにあるレベルの一致判定は、プライベートレッスンの新規予約では行いません
- 2つの形式は優劣ではなく、受講生の探し方の違いに対応したものです
- 予約管理はオプションとしてご用意しており、本事例の2つの入口の設計はカスタマイズで実現しています
同じ「予約したい」でも、頭の中の順番が違う

プライベートレッスンは、講師と受講生が1対1で受講する形式です。ここに予約システムをつけようとすると、最初の設計で必ず迷う箇所があります。予約画面の1歩目を、日時にするか、講師にするか、です。
現場でよく聞くのは、次のような要望です。
- 特定の講師の指導を継続して受けたいので、その講師の空きから探したい
- 通える曜日と時間が決まっているので、その時間に空いている講師から探したい
- 前回指導を受けた講師と同じ講師を希望するが、都合が合わなければ別の講師でもかまわない
これらを1つの導線に押し込むと、どちらかの受講生にとって遠回りになります。講師起点の人に日時から選ばせれば、目的の講師がいる日を総当たりで探すことになりますし、時間起点の人に講師から選ばせれば、通えない曜日しか空いていない講師を延々と見ることになります。
なお、TechnoSMSの予約管理はオプションとしてご用意しているもので、ここから先にご紹介する2つの入口の設計は、本事例のためにカスタマイズで組んだものです。
入口を1つに決めず、2つ用意して合流させた
本事例で採った判断は、どちらか一方に統一しないことでした。「時間から選ぶ」「講師から選ぶ」の2つの入口を用意し、受講生が最初に選ぶのは日時でも講師でもなく、探し方そのものにしています。

操作の流れは次のとおりです。
- マイページの「レッスン予約」から「プライベートレッスン」を選びます
- 選択画面で「時間から選ぶ」または「講師から選ぶ」のどちらかを選びます
- 「時間から選ぶ」の場合は、受講日を選び、その日にプライベートレッスンの登録がある時間帯から希望のものを選びます
- 「講師から選ぶ」の場合は、講師を選びます。その講師が登録している時間帯が「何月何日(何曜日)何時から何時」の形で一覧になるので、希望のものを選びます
- 「予約」を押すと予約確認画面に進みます。内容を確認して「予約確定」を押すと予約が成立し、登録メールアドレスへ完了通知メールが送信されます
入口によって3番目か4番目のどちらかを通るだけで、「予約」を押してから先は共通です。
| 時間から選ぶ | 講師から選ぶ | |
|---|---|---|
| 向いている受講生 | 通える曜日・時間が決まっている | 指導を受けたい講師が決まっている |
| 最初に選ぶもの | 受講日 | 講師 |
| 次に選ぶもの | その日に登録がある時間帯 | その講師が登録している時間帯(日付・曜日・時刻) |
| 確定までの手順 | 共通(「予約」→ 予約確認画面 →「予約確定」→ 完了通知メール) | 共通(「予約」→ 予約確認画面 →「予約確定」→ 完了通知メール) |
確定の手前で効くチェック

受講生が「予約確定」に到達するまでに、システム側は次の条件を判定しています。
| 止める条件 | 判定するタイミング |
|---|---|
| 対象コースの登録がない/残回数が0 | 「プライベートレッスン」を選んだ時点 |
| 未来の予約が既に2件ある | 「プライベートレッスン」を選んだ時点 |
| 予約可能な期間の範囲外 | 「予約」を押した時点 |
| 確定の瞬間に満席になった | 「予約確定」を押した時点 |
| 既存の予約と時間が重複している | 「予約」を押した時点 |
契約や残回数のように入口で分かることは最初に止め、満席や重複のように確定の瞬間まで決まらないことは最後に止めます。講師という軸が加わるぶん候補の組み合わせは増えますが、止める考え方そのものはフリータイムレッスンと同じです。
受付期間の設定
予約を受け付ける期間の考え方は、フリータイムレッスンと共通です。受付期間は受講日時を基準に設定し、「受講日時の○時間前まで」「受講日の2日前の12時まで」のように、受講日から何日前(または何日前の何時)で区切ります。本事例では、受講日の前日21時で締め切ります。
プライベートレッスンでは、この制約が講師の稼働の確保に直結します。当日の直前に予約が入る余地を残すと、講師側のスケジュールが確定しません。締め切りを設けることは、受講生の利便性を削っているようでいて、実際には「予約した枠が確実に成立する」ことを支えています。
フリータイムレッスンとの違い
同じ予約でも、2つの形式は前提が異なります。
| フリータイムレッスン | プライベートレッスン | |
|---|---|---|
| 選ぶ軸 | 日時と残席 | 講師または時間 |
| 予約の入口 | 1つ(日程から) | 2つ(時間から/講師から) |
| レベルの一致判定 | あり(登録レベルと枠のレベルを照合) | 新規予約時の制限には含まれない |
| 向いている運用 | 同一内容の講座を複数枠で開講する | 講師と受講生の組み合わせが意味を持つ |
どちらが優れているという話ではなく、受講生が何を手がかりに枠を探すかの違いです。両方を提供しているスクールであれば、両方の導線を用意することになります。
なお、予約の変更や振替については、新規予約とは別の制約が必要になります。こちらは別の記事であらためて扱います。
こんな課題があれば、同じ設計で解決できます

以下に当てはまる状況であれば、本事例と同じ考え方で対応できる可能性が高いです。
- 講師指名の予約を、電話やメッセージで個別に受け付けている
- 「この先生の空きはいつか」という問い合わせに、担当者が毎回スケジュールを確認している
- 通える時間が決まっている受講生に対して、対応可能な講師を手作業で探している
- 講師のスケジュールと受講生の予約が別々に管理されており、二重予約が起きる
- 予約は開放したいが、契約や残回数に合わない申し込みが通るのは避けたい
まとめ
ここまでにご説明した内容を、課題と対応の対で一覧にすると次のとおりです。詳細はそれぞれの章をご覧ください。
| 課題 | 本事例の対応 |
|---|---|
| 講師起点と時間起点で探し方が違う | 入口を2つ用意し、時間からも講師からも探せるようにする |
| 講師の空き確認が担当者の手作業になっている | 受講日または講師を選ぶと、予約できる時間帯が表示される |
| 契約外・残回数切れの申し込みが通る | 入口の段階で判定して予約に進ませない |
| 二重予約が起きる | 確定の瞬間に満席・重複を判定 |
| 講師のスケジュールが直前まで固まらない | 受付期間と時刻の締め切りを制約として持たせる |
予約システムをつくる作業は、機能を並べる作業ではありません。利用者が何から考えはじめるかを先に決めることが、使われる画面と使われない画面を分けます。
テクノピアンの提案は、製品説明にとどまりません。お客様のレッスンがどのような単位で成り立ち、受講生がどう枠を探しているのかを一緒に整理しながら、予約の導線を設計していきます。ご相談では、現在の受付フローの整理と、どこまでをシステムで受けられるかのご説明が可能です。
「講師指名の運用をどう組めばよいか分からない」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

スクール管理システム「TechnoSMS」を開発するTECHNOPIAN株式会社の広報。「業務をシステムに合わせるのではなく、業務のためのシステムを作る」が信条。数十社以上の導入指揮経験を活かし、徹底した要件定義によって、スクール独自の複雑な運用ルールを最適なシステムにする過程をお伝えします。
